
高圧噴射撹拌工法JETCRETE|オーダーメイドの地盤改良が活きるケースとは?
地盤改良と聞くと、「決められた工法を、決められた仕様で施工するもの」というイメージを持たれる方もいるかもしれません。
もちろん、地盤改良には標準的な仕様や実績のある工法が数多くあります。
一方で、実際の現場では、地盤条件、施工スペース、既設構造物との位置関係、必要な改良範囲などが一つひとつ異なります。
「もう少し改良径を大きくできれば、本数を減らせるのに」
「この深度だけ、地盤に合わせて調整できないだろうか」
「強度を高くしたい、あるいは逆に抑えたい」
そんな細かなニーズに応えられるのが、オーダーメイドの高圧噴射撹拌工法「JETCRETE」です。
本記事では、JETCRETEがどのように改良径や改良強度をコントロールできるのか、そしてその“オーダーメイド性”がどのようなケースでメリットを発揮するのかをご紹介します。
この記事からわかること
JETCRETEとはどのような高圧噴射撹拌工法なのか
改良径をオーダーメイドで設定できるメリット・活用ケース
改良強度を高く、または低く設定できるメリット・活用ケース
JETCRETEが特に効果を発揮する工事条件や適用ケース
JETCRETEとは
JETCRETEは地盤改良工法のひとつであり、オーダーメイドの改良体を造成できる高圧噴射撹拌工法です
(地盤改良工法については、こちらの記事も参照ください)。
高圧噴射撹拌工法では、高圧のジェット噴流で地盤を切削・撹拌混合することで柱状の改良体を造成します。
従来の高圧噴射撹拌工法では、噴射流量・圧力などのパラメータ(施工仕様)を一定にして施工するため、地盤の「固さ」に応じて造成できる改良径が決まります。
これに対し、JETCRETEは噴射流量や圧力を自社開発のノズルでコントロールすることで、改良径を任意に設定することができます
(ノズルについては、こちらの記事も参照ください)。
さらに、噴射量とあわせてセメント系固化材の配合を調整することで、改良強度も任意に設定することが可能です(表1、図1参照)。
砂質土 | 改良径(m) | 設計基準強度 | ||
N≦50 | 50<N≦100 | 100<N≦150 | ||
コラムジェット | 2.0m | 1.8m | 1.6m | 3MN/㎡ |
SUPERJET 35 | 3.5m | 3.2m | 2.8m | 3MN/㎡ |
JETCRETE-N | 0.5~4.0m | 0.5~3.6m | 0.5~3.3m | 0.5~10MN/㎡ (標準3MN/㎡) |

図1 実験工事におけるJETCRETE改良体の例
オーダーメイドの改良径のメリット・活用例
JETCRETEでは改良径を任意に設定することが可能です。
改良径をオーダーメイドで設定できるメリットと、そのメリットを活用できるケースを具体的にみていきましょう。
・効率的な改良体の配置が可能
簡単な例として、正方形の改良範囲で考えてみます(図2)。
従来工法では、改良径が決まっているため、改良範囲を超過するエリア(=無駄な改良)が大きくなる可能性があります。
無駄な改良が大きくなると、固化材使用量の増加だけでなく排泥の増加も招き、コストアップとなってしまいます。
一方、JETCRETEの場合、改良範囲にあわせて改良径を調整することができるため無駄な改良を最小限に抑えることができ、さらに、改良径を大きくすることで改良本数を減らすことも可能です。
図2の例でいえば、従来工法:8本⇔JETCRETE:4本となり、改良本数を1/2に削減できることになります。
こうした効率的な配置のメリットは、とくに地盤強化や液状化対策などのような改良面積が広いケースで発揮され、JETCRETEを採用することでコストダウンを図ることができます。
従来工法 JETCRETE

図2 従来工法とJETCRETEの改良体配置の比較
・地盤によらず一律の改良が可能
従来の高圧噴射撹拌工法では、噴射流量・圧力が一定であるため、改良径が地盤の「固さ」に応じて変わります。
このとき、実際の地盤は深度ごとに地層が異なるため、従来の高圧噴射撹拌工法で改良径は、深度ごとに変ることになります(図3、左)。
一方JETCRETEでは、深度ごと・地層ごとに噴射流量・圧力などの施工仕様を調整することで、改良径をコントロールすることが可能なため、地盤の種類によらず一律な改良径を造成することが可能です(図3、右)。
このため、改良体1本あたりについても、無駄な改良を減らしてコストダウンを図ることができます。
とくに深度の深い欠損防護など、改良長が長いケースではJETCRETEの優位性を活用できる可能性が高くなります。

・大口径の改良が可能
JETCRETEは大口径の改良も可能です(図4)。
鉄道関連工事や下水道関連工事といった複雑な都市土木での地盤改良の計画にて、「従来の工法では改良径が届かない」「あと少し改良径を大きくしたい」という相談をいただくことがあります。
こうしたニーズに、JETCRETEであれば応えることが可能です。

図4 大口径改良径の例(Φ7.0m)
オーダーメイドの改良強度のメリット・活用例
JETCRETEでは改良径だけでなく、改良強度(設計基準強度)も任意に設定することが可能です。
こちらについても、メリットと活用できるケースを紹介します。
・高強度/低強度の改良が可能
JETCRETEは固化材配合や噴射量を調整することで、標準より高い設計基準強度にも対応可能です。
この特長を活かして、重要構造物の地盤強化など、必要となる改良体の強度が高いケースでJETCRETEが採用されています。
なお、過去の実績では設計基準強度10MN/㎡の地盤改良を施工したケースもあります。
高強度とは反対に、JETCRETEでは低強度(強度抑制)の地盤改良も可能です。
少々意外かもしれませんが、改良体の強度を低く抑えたいというニーズも少なくなくありません。
たとえば、場所打ち杭の孔壁防護や深礎防護のための地盤改良のように、後工程で改良体を掘削する必要があるケースで、低強度改良のメリットが活かされています。
・独自の設計定数を用いた設計が可能
JETCRETEのコア供試体による試験データから、粘着力や引っ張り強さなどについて、従来の高圧噴射撹拌工法よりも高い強度特性を持つことが確認されています(図5)。
このJETCRETE独自の設計定数を用いることで、たとえば欠損防護の改良厚みを薄くしたりするなど合理的な計画が可能となります。

まとめ
以上、簡単ではありますが、JETCRETEのオーダーメイドのメリットとその活用ケースをみてきました。
そのほかにも、施工機・ツールスのバリエーションが非常に豊富(図6)、改良体の平面形状も変更可能(図7)など、JETCRETEにはここで紹介できなかった特長がまだまだあります。
難しい工事であればあるほど、JETCRETEのメリットは活きるものと考えております。
地盤改良を検討される際は、ぜひ一度ご相談ください。

図6 JETCRETE施工機の例
(左:建物内部で施工可能な超小型施工機。右:施工効率のよい自走式施工機)

図7 扇形改良とその適用例

