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地中に残された杭を活かすには?エコタイト-Sの適用ケース

「建物を解体したあと、地中に残った杭はどうなるの?」
「撤去せずに再利用できる場合はあるの?」

建替え工事を計画する中で、このような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
建物を解体しても、地中深くに打設された杭はそのまま残ります。
このような杭は、新しい建物の基礎計画や施工方法、工期、コストに影響することがあるため、建替え計画の初期段階から検討しておきたいポイントです。


本記事では、建替え時に課題となる「既存杭」について、基本的な考え方から、撤去・存置・再利用の選択肢、そしてそのひとつとして、エコタイト-Sの適用ケースまで、わかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 既存杭とは何か

  • 建替え工事で既存杭が課題になる理由

  • 既存杭の撤去・存置・再利用という考え方

  • 既存杭を撤去する場合の課題

  • 既存杭を再利用することで期待できるメリット

  • エコタイト-Sの適用事例

  • 建物を使いながら杭補強できるケース

目次[非表示]

  1. 1.そもそも「既存杭」とは?
  2. 2.建替え時、既存杭はどう扱う?
  3. 3.既存杭を撤去する場合の課題
  4. 4.既存杭を「再利用する」という考え方
  5. 5.既存杭を「存置する」という考え方~エコタイト-Sによる直接基礎~
  6. 6.既存杭を引き抜かないメリット
  7. 7.既存ストックを活かせるエコタイト-S
  8. 8.まとめ:既存杭は「撤去するもの」から「活かすもの」へ

そもそも「既存杭」とは?

身の回りにある建物の多くは、地中深くまで打設した杭によって支えられています。
この杭のおかげで、建物が沈下することなく、安全・安心に建物を利用することが可能となります。

しかしながら、老朽化などにより建物を建替えることになったとき、この杭は少々厄介な存在となります。
建物(上部構造)を解体すれば地上からは何もなくなったように見えるかもしれませんが、地中深くまで打設された杭は、そのまま残ってしまうからです。

この建替え時に地中に残っている杭(もともとの建物を支えていた杭)を「既存杭」と呼びます

建替え工事では、この既存杭をどのように扱うかが、新しい建物の設計や施工計画、工期、コストに関わる重要なポイントになります。

建替え時、既存杭はどう扱う?

建替え工事では、地中に残された既存杭について、主に次のような扱いが検討されます。

1つ目は、新しい建物の基礎として活用する方法(再利用)。
2つ目は、新設する杭などに影響しない範囲で地中に残す方法(存置)。
3つ目は、引き抜いて撤去・埋戻しする方法です(撤去)。

このうち、再利用と撤去のイメージを図1に示します。

図1 既存杭の扱いイメージ1)
出典:国土技術政策総合研究所ホームページ
(https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/rpn/rpn0076.htm)

ここで大切なのは、既存杭は「必ず撤去するもの」とは限らないという点です。
もちろん、杭の状態や新築計画との関係によっては、撤去が必要になる場合もあります。

一方で、条件が整えば、既存杭を適切に評価したうえで活用するという選択肢も考えられます。

既存杭を撤去する場合の課題

既存杭を撤去する場合、地中深くにある杭を引き抜き、その後の孔を埋め戻す必要があります。
この作業には、次のような課題が生じることがあります。

  • 杭の撤去・埋戻しに時間とコストがかかる
  • 杭を引き抜いた周辺地盤(敷地外を含む)がゆるむ可能性がある
  • 引き抜いたあとに埋め戻しても、原地盤と同等に戻すことは難しい
  • 搬出入や廃棄物の発生により、環境負荷が大きくなる場合がある
  • 狭い敷地や周辺建物が近い敷地では、施工上の制約が大きくなる

このうち、杭引き抜き後の埋戻し部の強度・性状が原地盤と異なってしまうという点は、見落とされがちですが、杭を再打設したときに大きな施工トラブルにつながる可能性があります(図2)。

図2 埋戻し部が新設杭に与える施工上の影響の例

また、都市部の建替え工事では、敷地が限られていたり、近隣建物や埋設物に配慮が必要だったりするため、既存杭の撤去が計画全体に大きく影響することもあります。

そのため近年では、既存杭を撤去するだけでなく、地中にある杭を資源として活かすという考え方も注目されています。

既存杭を「再利用する」という考え方

既存杭の再利用とは、地中に残された旧建物の杭を、新しい建物の基礎の一部として活用する考え方です。
既存杭を再利用できれば、撤去工事を減らせ、工期短縮やコスト低減につながる場合があります。

また、杭の撤去に伴う廃棄物や搬出入を抑えられるため、環境面でのメリットも期待できます。既存杭利用の効果として、コスト低減や工期短縮に加え、産業廃棄物量、騒音・振動、CO₂排出量の削減が挙げられています。

ただし、既存杭を再利用するには、単に「残っているから使う」というわけにはいきません。
杭の位置、杭径、杭長、杭種、健全性、地盤条件、新しい建物の荷重条件などを確認し、設計上問題がないかを慎重に検討する必要があります。

既存杭を「存置する」という考え方~エコタイト-Sによる直接基礎~

当社では、既存杭を残したまま、エコタイト-Sによる直接基礎構築をご提案しています。

エコタイト-Sは、建築物の基礎に適用できる高圧噴射撹拌工法です。
建築技術性能証明を取得しており、強度のばらつきを抑えた高品質な改良体の造成に対応しています。
また、性能証明に基づいて適用範囲や品質管理の考え方が整理されており、建築基準法に規定される許容応力度計算に適用できる点も特長です。

再開発・建替え工事において、既存杭を存置したまま、地盤改良による直接基礎を構築することがあり、こうしたケースでエコタイト-Sを採用いただいております(図3)。地盤改良による直接基礎を採用することで、既存杭の引き抜き・埋戻し・杭打設することに比べて、工程・コストの削減が期待できます。

ただし、既存杭を存置するためにはいくつかの条件があり、単に地中に放置したままにするわけにはいきません。

図3 エコタイト-Sによる直接基礎の適用イメージ

既存杭を引き抜かないメリット

既存杭を再利用・存置できる場合、建替え工事においては、工期・コスト・環境負荷・周辺環境への配慮といった面でメリットが期待できます。
なお、実際の効果は杭の状態や地盤条件、新築計画、施工条件によって異なります。

工期短縮
既存杭の撤去や埋戻し、新設杭工事の一部を抑えられる場合、建替え工事全体の工程を短縮しやすくなります。

コスト低減
撤去費、処分費、埋戻し費、新設杭工事費などの負担を抑えられる場合があり、建替え工事全体のコスト低減につながります。

環境負荷の低減
既存杭を活用することで、杭の撤去に伴う建設廃棄物の削減や、資材の有効利用につながります。
建築工事に係る資材をできるだけ有効活用し、既存ストックを活かすという点でも、環境面で意義のある取り組みといえます。

周辺環境への配慮
杭を引き抜くことで、周辺地盤がゆるむ可能性があります。特に周辺建物が近接する都市部では、敷地外への影響がないことも確認しなくてはなりません。

既存杭を引き抜かないことで、こうした検討が不要になる場合があります。
また、杭の引き抜き作業を減らせる場合、騒音・振動・搬出入の低減にもつながります。

ただし、適用には個別検討が必要です。
ここまで、既存杭の再利用やエコタイト-Sの適用例についてご紹介しましたが、すべての既存杭にそのまま適用できるわけではありません。
既存杭を再利用・存置できるかどうかは、杭の状態や地盤条件、新しく建てる建物の計画、施工条件などによって変わります。

そのため、既存杭の再利用・存置を検討する場合は、計画の早い段階で、調査・設計・施工の観点から確認しておくことが大切です。

既存ストックを活かせるエコタイト-S

エコタイト-Sは、既存ストックを活かしながら、建物や基礎の性能向上を図りたい場面で検討しやすい工法です。

本記事でご紹介しているような建替え時の既存杭への適用ケースに加え、建て替えが難しい歴史的建造物や重要文化財の沈下対策・耐震補強、地震で損傷した杭の補修など、建物の長寿命化でも活用されています。

エコタイト-Sは小型施工機・超小型施工機による施工が可能なため、狭隘な場所や建物内部からの施工にも対応しやすく、建物を完全に止めることが難しい施設への地盤改良では、大きなメリットになります。
たとえば、学校、病院、工場、公共施設、防災拠点となる建物などでは、建物の機能をできるだけ維持しながら補修・補強を進めたいケースがあります。
こうした既存建物の長寿命化やBCP対策、地震により損傷した杭基礎の補修・補強といった場面でも活用が期待されます。

参考資料
エコタイト-Sによる既存基礎補強工事実績:

高圧噴射撹拌工法による杭補強工法の研究成果について:

このように、建替え時の既存杭への適用だけでなく、建物を使い続けながら基礎性能の向上を図れる可能性があることも、エコタイト-Sの大きな特長です。
いずれの場面でも共通しているのは、既存の建物や地下構造物をすべて取り壊すのではなく、今あるものをできるだけ活かしながら、必要な性能を確保していくという考え方です。

まとめ:既存杭は「撤去するもの」から「活かすもの」へ

建替え工事において、地中に残された既存杭は、計画上の大きな課題になることがあります。
しかし、既存杭は必ずしも撤去するだけのものではありません。

杭の状態や地盤条件、新築計画との関係を適切に確認すれば、再利用や存置という選択肢が見えてくる場合があります。
既存杭を存置したままエコタイト-Sによる直接基礎を造成することができれば、工期短縮、コスト低減、環境負荷の低減、既存ストックの有効活用が可能です

これらの観点からも、既存杭をどう扱うかは、建替え計画の初期段階でぜひ検討しておきたいテーマです。

既存杭の扱いにお悩みの方、建替え計画で杭の撤去・再利用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
現場条件や建物計画に応じて、最適な方法を一緒に検討いたします。

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参考資料:
1)国土交通省国土技術政策総合研究所「既存杭を含む敷地における建築物の設計指針(案)」『国土技術政策総合研究所研究報告 No.76』2025