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ICT施工のメリットとJETCRETEの革新技術を探る!

(このページは2025年7月2日に更新されました)

こんにちは!
私は、技術営業部で働く5年目の社員です。
前回は、高圧噴射撹拌工法の出来形確認について記事を書かせていただきました。
 
今回は、最近よく耳にする「ICT施工」についてお話ししたいと思います。
正直なところ、私も最初は「ICTって何?」「本当に現場で使えるの?」と疑問だらけでした。
でも、実際に現場で導入されている様子を見たり、先輩方から話を聞いたりする中で、その便利さと可能性に驚かされました。
特に、JETCRETEで取り組んでいるICT施工は、施工管理の効率化だけでなく、品質の見える化にもつながっていて、これからの建設現場には欠かせない技術だと感じています。
この記事が、ICT施工に興味を持っている方や、これから導入を考えている方の参考になれば嬉しいです。
それでは、さっそく見ていきましょう!

この記事からわかること

  • 従来の施工管理方法の課題と、それに伴う効率・品質面での問題点
  • 国土交通省が定めたICT施工の基準と、地盤改良工における具体的なICT活用項目
  • JETCRETE工法の特徴と施工プロセス、およびICT技術との連携方法
  • JETCRETEのICT施工によるメリット(効率化・品質向上・情報共有の強化)

目次[非表示]

  1. 1.一般的な施工管理方法
    1. 1.1.従来の施工管理方法
  2. 2.国土交通省が定めたICT施工(地盤改良)の項目
    1. 2.1.1.3次元起工測量(現場の“今”を立体的に把握)
    2. 2.2.2.3次元設計データ作成(測量データをもとに施工の“設計図”を作る)
    3. 2.3.3.ICT建設機械による施工(データと連動したスマート施工)
    4. 2.4.4.3次元出来形管理(施工結果を“見える化”)
    5. 2.5.5.3次元データの納品(紙からデジタルへ)
  3. 3.JETCRETEについて
    1. 3.1.JETCRETEの概要
    2. 3.2.JETCRETEの施工プロセス
  4. 4.JETCRETEのICT施工
    1. 4.1.JETCRETEのICT施工
    2. 4.2.ICT建設機械による施工
    3. 4.3.施工履歴データを用いた出来形管理
    4. 4.4.3次元データの納品
  5. 5.JETCRETEのICT施工のメリット
  6. 6.まとめ


一般的な施工管理方法

従来の施工管理方法では、施工時に標準施工管理基準に基づき、個別に目視管理や写真管理を行います。
この方法では作業の進捗や品質管理が手作業に依存するため、効率が悪くなる場合があります。

従来の施工管理方法

従来の施工管理方法は以下の通りです。

  • 目視管理:現場監督や技術者が直接現場を確認し、施工の進捗や品質を目視でチェックします。
    これには現場を歩き回り、各作業の進行状況を確認する作業が含まれます。
  • 写真管理:施工の各段階を写真で記録し、後で確認できるようにします。
    これにより、施工の進捗や品質を視覚的に確認することができます。

  • 手作業による記録:施工の進捗や品質に関する情報を手作業で記録します。
    日報や週報の作成、施工管理台帳への記入などが含まれます。

課題と改善点

従来の施工管理方法には以下の課題があります。

  • 効率の低下: 手作業による管理は時間がかかり、効率が悪くなることがあります。
    特に大規模なプロジェクトでは、現場を歩き回る時間や写真を撮る時間が増え、作業の進捗が遅れることがあります。
  • 人為的ミスの可能性 : 手作業による記録は人為的なミスが発生しやすく、正確な情報が得られないことがあります。
    例えば、記録漏れや誤記入が発生することがあります。

  • 情報の共有が難しい : 手作業による記録は紙ベースで行われることが多く、情報の共有が難しくなります。
    これにより、プロジェクトメンバー全員が最新の情報を共有することが難しくなります。

これらの課題に対して、ICT施工は効率的で正確な管理を実現し、情報の共有を容易にします。

国土交通省が定めたICT施工(地盤改良)の項目

国土交通省は、建設業における生産性向上と品質確保を目的として、ICT(情報通信技術)を活用した施工の基準を定めています。
以下は、国土交通省が定めた地盤改良工におけるICT施工の項目です。

1.3次元起工測量(現場の“今”を立体的に把握)

工事のスタートは、現場の地形を正確に把握する「起工測量」からです。
従来の2次元測量とは異なり、ドローン(UAV)やレーザースキャナー、GNSSなどを活用して、地形を3次元データとして取得します。
これにより、現場全体の高低差や形状を立体的に把握でき、後の設計や施工の精度が格段に向上します。
また、現場の状況に応じて、面的な測量だけでなく、断面や変化点の測定も可能です。

2.3次元設計データ作成(測量データをもとに施工の“設計図”を作る)

取得した3次元測量データと、発注者から提供される設計図データを組み合わせて、3次元の設計データを作成します。
このデータは、施工機械の制御や出来形管理に使われる非常に重要な情報源です。
特に地盤改良工では、「施工履歴データを用いた出来形管理要領」に基づいた設計データが必要となり、施工の正確性とトレーサビリティを確保する役割を果たします。

3.ICT建設機械による施工(データと連動したスマート施工)

ICT技術を搭載した建設機械を使用して施工を行います。これにより、施工の精度と効率が向上します。
例えば、GNSS(全地球測位システム)※1を利用したマシンガイダンス※2が一般的です。
これにより、建設機械が正確な位置情報を基に動作し、施工の精度が大幅に向上します。
 
※1 人工衛星を使って地球上のどこにいても自分の位置を高精度で測定できるシステムの総称。
※2 オペレーターをガイダンスでサポートをする機能。特徴は下記の通り。
【特徴】
・3次元設計データをもとに、モニター上で視覚的に案内します。
・実際の操作はオペレーターが行うが、正確な位置情報や高さ情報をリアルタイムで確認できます。

4.3次元出来形管理(施工結果を“見える化”)

施工が終わったら、次はその結果を管理するフェーズです。
ここでは、施工履歴データを活用して、どの位置にどのような施工が行われたかを3次元で記録・管理します。
これにより、出来形の確認が容易になり、品質管理や検査の効率も大幅にアップ。
また、将来的なメンテナンスやトラブル対応にも役立つ、信頼性の高い記録が残せます。

5.3次元データの納品(紙からデジタルへ)

最後に、施工管理で得られた3次元データを電子納品します。
これにより、従来の紙ベースの図面では難しかった情報の共有や再利用がスムーズになります。
発注者や関係者が同じデータをもとに確認・検討できるため、透明性と効率性の高いプロジェクト運営が可能になります。
 
これらの項目を通じて、国土交通省は建設業におけるICTの活用を推進し、効率的で高品質な施工を実現しています。
 
そして、ケミカルグラウトでは上記項目のうち3~5の段階でGNSSや施工管理装置を活用するICT施工を実現しています。
詳しくは「JETCRETEのICT施工」の項目にてお伝えします!

JETCRETEについて

JETCRETEの概要

地中で液体の固化材料等を高圧で噴射し、土と混合撹拌して固結体を造成する高圧噴射撹拌工法である地盤改良工法の一つです。
JETCRETEは、従来の高圧噴射撹拌工法では不可能であった「改良径」「改良強度」「改良形状」を自由に設定できるため、現場に応じて最適な改良体配置が可能となります。
また、施工機の小型化を実現しており、狭隘な場所でも施工が可能です。

JETCRETEの施工プロセス

JETCRETEの施工プロセスは以下の通りです。

  • 調査:
    現場情報の収集(地盤、土質、地下水位など)
    現場環境の確認(用地の広さ、高さ、周辺状況、搬入路など)
  • 設計:
    改良径の組合せによる経済的設計
    施工目的と条件に最適な設計の提案

  • 施工:
    熱電対を利用した改良径の評価
    施工管理装置による正確な施工

  • 品質確認:
    サンプリングによる改良径確認
    室内強度試験による品質確認

これらのプロセスにより、JETCRETEは効率的かつ正確な施工を実現しています。

JETCRETEのICT施工

JETCRETEのICT施工

JETCRETEでは、国土交通省が定めた「3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領(固結工(スラリー撹拌工)・バーチカルドレーン工編) (案)」(令和7年3月版)に則り、工事の各段階においてGNSSや施工管理装置を活用するICT施工を実現しています。
この新しいアプローチにより、施工管理の精度と効率が大幅に向上します。
以下はその具体的な特徴です。

ICT建設機械による施工

  • 小型ICT建機によるGNSSガイダンス:

    GNSS受信アンテナを小型機械に搭載し、狭隘エリアでのICT施工を実現します。
    マシンガイダンスは専用のハンディ(スマートフォン端末)を用いて、造成位置までの誘導を一目で確認できます。

  • 施工異常時の自動停止機能:

    専用の管理装置により施工状況を把握し、エラー時には施工機を自動停止させます。
    自動で施工エラーを判定し、施工機を停止することで安全性を確保します。

専用の管理装置

施工履歴データを用いた出来形管理

  • 施工履歴データのクラウド管理:

    施工履歴情報をクラウドに保存し、施工状況の見える化を実現します。
    深度、引上時間、回転数、噴射圧力、固化材吐出量、セメントスラリー比重、圧縮空気吐出量、積算流量などのデータを管理します。

3次元データの納品

  • 3次元データを含む帳票作成:

    クラウドの施工履歴データから帳票を自動作成し、3次元データも作成可能です。
    これにより、施工の記録を詳細に残し、後の分析や報告に役立てます。

    3次元データと帳票

デジタル化情報通信システム概要

JETCRETEのICT施工のメリット

JETCRETEのICT施工は、従来の施工方法に比べて以下のメリットを提供します。

  • GNSSによるマシンガイダンスによって、マシンの誘導・設置にかかる時間を削減。
  • 施工に関わる様々な情報をクラウド上で確認できるので、現場事務所はもちろん、ネットワーク環境が整っていればどこからでも確認が可能。
  • 帳票類が自動で作成できるので、書類作成の手間を削減。

これらのメリットにより、JETCRETEのICT施工は建設業界のこれからにおいて、重要な役割を果たしています。

まとめ

今後、建設業界はデジタル化の波に乗り、さらなる革新が求められています。
JETCRETEのICT施工は、その一端を担うものであり、業界全体の進化を促進する重要な要素です。
私たち一人ひとりがこの新しい技術を理解し、活用することで、より安全で効率的な施工環境を実現できるでしょう。
そして、これからの建設業界の未来を共に切り拓いていきましょう。


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参考文献
1) 国土交通省「3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領(案)」(令和7年3月度), PDL1.0
2) JETCRETE 技術・積算資料【第8版】P.55
3) JETCRETEのデジタル化情報通信 リーフレット











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