震度について (1)
地震の大きさを表すもう一つの指標が震度です。CDプレーヤーを例にとれば、あなたのいる場所の音の大きさが震度になります。聞いている場所の環境で、プレーヤーから出る音の聞こえ方が異なるように、同じマグニチュードの地震でも、伝わる地盤によってゆれ方が異なります。つまり同じ地震でも、震度は場所によって異なります。
震度にも、いろいろな規格があり、国によって異なった震度階級を採用しています。日本では、気象庁の気象庁震度階級が使われていますが、他国では、メルカリ震度階級(米国、韓国など)、メドヴェーデフ・シュポンホイアー・カルニク震度階級(CIS諸国、イスラエル、インドなど)、烈度震度階級(中華人民共和国、香港など)、ヨーロッパ震度階級(ヨーロッパ諸国)が使われています。
これら他国の震度階級と、気象庁震度階級とのもっとも大きな違いは震度の決め方にあります。他の国では、人の感じ方(体感と被害による景観や状況の変化から判断)で震度を決めているのに比べて、気象庁では、全国に設置されたデジタル強震計が、自動的に観測した地震波形から震度を計算し気象庁に通報しています。このシステムにより我が国では他国に比べて、より客観的で迅速な震度の決定処理ができるようになっているとのことです。
また、他国の震度階級が全て、1から12までの12段階になっているのに対して、気象庁震度階級は、0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7、の0から始まる10段階で、他の震度階級に比べて2階級少なくなっています。
震度階級はゆれ方を表す指標なので、使われている事象や表現が国によって異なることも面白いところです。ヨーロッパ諸国では、「教会の鐘が鳴る」、「チムニー(小煙突)が倒れる」、「壁の漆喰がはがれる」、「石積建築物が壊れる」、「記念碑が倒れる」などが特長的な表現としてヨーロッパを感じさせます。中国では、「チムニー(小煙突)が倒れる」、「壁の漆喰がはがれる」などが、ヨーロッパと共通しており、大陸を感じさせますが、作られた時期が少し古いのでしょうか? 「自転車に乗っていて転ぶ」などもあります。日本の場合は、「電線がゆれる」や、家を木造と鉄筋コンクリートの2種類に分けて記述していることなどが、特徴的でしょうか。
もうひとつ、日本では過激な表現を使わないように配慮されているのか、最大震度7の状況記述が、海外の最大震度階級に比較して少し控え目です。気象庁震度階級の最大深度7の記述が、「耐震性の高い住宅や建物でも、傾いたり、大きく破壊されるものがある」に対して、他の震度階級での最大震度12の記述は、「地表と地下の全ての構造物が完全に破壊される」、「目に映る線が歪む」、「物体が空中に投げ出される」、「地面が波打つ」等々、世界の終焉のような刺激的な言葉が並んでいます。