震波と地盤による伝播
震源で発生した地震波は、多くの地層を伝播して地表に到達します。地盤は地表に近づくほど、軟らかくなるので、地震波の振幅(ゆれ)も、地表に近づくにつれてだんだん大きくなり、同時に伝わり方も遅くなります。これは、同じ力を受けても、地盤が軟らかいと変形が大きくなり、変形が大きければ、その分、伝わる時間が余計にかかるためです。
一列に並べられた鋼球とゴム球を想像してみてください。球の変形を次の球に伝える時、鋼球は変形が少なく、短時間で次の球へ変形を伝達することができるのに対して、ゴム球では変形が大きく、伝達が遅くなることがイメージできます。
ところで、地震波は図で示すように、疎と密の繰り返し、または、うねりの繰り返しでできています。この疎と次の疎の長さ、または一つのうねりの長さを波長、そして、1波長進む時間を周期と呼びます。
光が水に入ると水面で屈折するように、地震波も地盤の境目で屈折し伝播方向が変わります。
下の図は、地震波が震源から地表に向かって、伝播速度の早い地盤から遅い地盤に伝播するときに、境界面で進行方向が屈折することを示しています。伝達速度が遅い地盤に斜めに入った地震波は、同じ進行面で部分的に波長の短い、2種類の波長を持つ地震波になります。
そして、二つの長さの波長が連続して変化してゆくために、伝播速度変化の割合に応じて、進行方向が屈折するのです。
このように、実体波(P波とS波)は、震源が遠方にあって、斜め横方向から伝播してきても、屈折により進行方向が次第に鉛直に変化するため、進行方向と平行なゆれを持つP波は上下動に、また進行方向と直角なゆれを持つS波は水平動と感ずることが多いそうです。