雑感

液状化 (3)

この度の東北地方太平洋沖地震により、多くの方の尊い命が失われた事に、深い哀悼の意を捧げます。被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げますとともに、皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心より祈念致します。

「地盤と地震雑感」については、少しでも皆様のお役に立てるページになるように、微力ではございますが、努力をしてゆきたいと考えております。 今後ともよろしくお願いします。

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液状化1で、液状化の発生する機構について説明しました。しかし、この説明では、不十分だとのご指摘がありましたので、切り口を変えて、少しだけ専門的な説明をしたいと思います。

以下の図は、地盤のモデルを表しています。容器に砂と、砂の上面まで水が入っており、その上に蓋が乗っています。蓋に孔があいている左のモデルは、地下水が移動しやすい地盤を表し、蓋に孔がない右のモデルは地下水が移動しにくい地盤を表しています。容器には同じ量の砂と水が入っており、加えている力も同じなので、はかりは両方とも同じ目盛りをさしています。

水が移動しやすい左の地盤では、蓋を押すと、水が蓋の上に移動するので蓋が下がり、土粒子が力をはかりに伝えます。(赤い線で示すように互いに接触した土粒子が力を伝えます。)したがって、この力が大きい程、土粒子同士、互いにしっかりとかみ合い、バラバラになりにくい状態になります。

水が移動しにくい右の地盤では、蓋を押しても、水が蓋の上に移動できないので蓋は下がらず、土粒子の代わりに、水が力をはかりに伝えます。(土粒子の間の水を赤くして伝わる様子を示しています。)したがって、土粒子同士は互いにゆるくかみ合っているままで、この力が大きくなっても、全体としてバラバラになりやすい状態のままです。

地震がおきると、液状化1で説明したように、土粒子間の水には土粒子を押し広げようとする力が発生します(上、右図の状態)。水が抜けやすい地盤では、水が抜けてこの力が逃げてしまうので、液状化は発生しませんが(上、左図の状態)、水が抜けにくい地盤では、この力によって土粒子が外れてしまい、液状化が発生しやすくなります。

下の図では、地盤内の土粒子がイメージされています。一番左のゆるく締まった地盤に横から力を加えると、土粒子の並びが密になるので体積が小さくなります(下、中央図)。この地盤に、また横から力を加えると、土粒子の並びが粗くなるので体積が大きくなります(下、右図)。この現象をダイラタンシーといいます。

水が抜けやすい地盤では、土粒子間の体積が小さくなると、間隙に入りきれなくなった水が抜けるので、土粒子はしっかりとかみ合ったままで、バラバラになりません(下、中央図)。

水が抜けにくい地盤では、土粒子間の体積は小さくなろうとしますが、水が抜けないので、全体として体積が小さくなれず、土粒子がしっかりとかみ合うことができないので、バラバラになろうとします(中央図と右図)。

地震が発生すると地盤には、横や縦方向のゆれ(力)が繰り返し何度もかかります。
以下の特徴を持った液状化が発生し安い地盤は、

  • 土粒子の間隙が地下水で満たされていること
  • 土粒子がゆるくかみ合っており、かみ合いが外れやすいこと
  • 地下水が移動しにくい土粒子の構成(圧力が上がりやすい)になっていること

地震の初期で地盤が持ちこたえても、地震の時間が長く、ゆれが繰りかえされると、液状化が発生することがあります。東北地方太平洋沖地震により、東京東部や千葉で発生した液状化は、本震の後の余震で発生したところもあるようです。

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